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ここに書かれていることはゲームとは無関係で
あることを断っておく。まず自己紹介からしておこ
う。私は中村光一、チュンソフトの代表者だ。「か
まいたちの夜」「かまいたちの夜-特別編-」で陰
謀篇という分岐があったのをご存知だろうか。我
孫子武丸がチュンソフトの陰謀によって閉じ込め
られている、という内容の分岐だ。私は面白いア
イデアだと笑ってそれをシナリオに入れることを
許した。まったくバカだったとしかいいようがない
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。順序立てて説明しよう。まずは我孫子武丸の
正体だ。我孫子武丸は私の弟だ。戸籍上はまっ
たく関係がない。武丸は幼い頃に養子に出され
たからだ。私たちは双子だった。親戚に子供のい
ない夫婦がいて、養子縁組が決まったのだ。それ
を知ったのも最近のこと。武丸と一緒に仕事を
始めてからだ。弟に初めてであったときは私も驚
いた。私とうりふたつの男がやってきて、小説家
の我孫子です、と自己紹介したのだから。弟は自
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分が妻子に出された事実を両親から聞かされて
いた。私はその説明を受けても、父親に真偽を正
すまでは半信半疑だった。そんなことはどうでも
いい。とにかく、私は今囚われの身だ。おそらく我
孫子武丸の自宅だと思うのだが良くはわからない
。目隠しされて連れてこられたからだ。全て弟
の仕組んだ罠だった。そう、武丸は私を誘拐し閉
じ込め、チュンソフトの社長になりすましたのだ。
今のチュンソフトの代表者は、我孫子武丸なの
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だ。そのために武丸は本当に周到な用意をして
いた。本や雑誌に写真を発表するときは、別人の
売れない役者を使った。編集者と打ち合わせを
するときは必ずエージェントの人間を使った。そし
て私に近づいた。かまいたちの夜のシナリオを任
せると、武丸は本当に真剣に仕事を仕上げ、それ
はヒット作となった。そして例の陰謀編だ。ここま
でたどりついたあなたも、おそらく未だにこれをゲ
ームの一部だと思っていることだろう。そう思わ
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せるための仕掛けが、陰謀編なのだ。あれ
は人形の下に死体を埋めるような、もしものため
の隠蔽工作だったのだ。今回はかまいたちの夜2を
始めるにあたって、武丸は私に協力を求めた。私
に断ることができるはずもない。私はシナリオの
チェックを任された。そして洞窟探検編のアイデ
アを提供、その代わりにプログラミングに一部参
加させてくれるように頼んだ。そう、私には陰謀編
の中のフィクションの我孫子武丸のように、プロ
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グラムの中にメッセージを仕掛けるしかなかった
のだ。やつはもしかしたらこれをしっていたかもし
れない。だが、今までの結果から、これを誰も本
気にしないだろうと思っているのだろう。頼むから
信じて欲しい。これは真実だ。私が中村光一で
あり、チュンソフトにいる男は我孫子武丸なのだ。
これを信じたのなら電話をかけて、このことを伝
えてくれ、番号は03・・・・・・ |