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ワルキューレの冒険 〜追憶と攻略の日々〜[FC&PS](03.01.13)
ワルキューレの冒険 〜追憶と攻略の日々〜 | ワルキューレの冒険(ナムコアンソロジー2)感想

序章
10年以上前の事だった。

「くそっ、クリアーできねー」

幾度も復活する敵ボスを一撃でほふりつつ、
ゲームクリアの為のアクションを試行していた。

このゲームをクリアするには、
必要とされるクリアアイテムを使用して、
あるポイントで使用すればクリアー
できる・・・ハズだった。

それがクリアーできない。
「レベルが足りない?いやそんな事は関係ない。」
「アイテムが違う?偽物?いやそんな事はないはず。」

いろいろ考えつつ作業を進めていった。

敵を屠る事はできても、消耗戦のような戦いを繰り返す事で
次第に自機キャラがダメージをうけ、消耗していった。
ボスはいくらでも倒せるが事態が進展しない。
その焦りがまた行動のミスを誘発させた。

何十分もの連続戦闘を続けた結果、
体力も魔力も満タンだった自機は薄い紙を張り合わせるように、
消耗に消耗を重ねして、安全にセーブポイントまで引き返せるであろう、
体力安全圏を超えようしていた。

(・・・しかたがない)
自分のキャラをセーブポイントまで引き返させ作業を終了させた。
セーブポイントで待っていたものは、敵を幾度も倒す事で経験値が貯まり、
無意味と思えるほどのレベルアップのみを繰り返すだけだった。

第一章
それは唐突に脳裏に浮かんだ。
「ワルキューレ(冒険の方)やりてーな」

あの後、幾度も試行を重ねるも、クリアができず、
それから他のゲームも出て、それを遊ぶ事が多くなり、
クリアーできないという事でずるずるとなし崩しになって
やる事を止め、ゲーム自身も売ってしまい、
それから十数年も経過していた。

あれからワルキューレは「冒険」から「伝説」に名前を変え、
ゲームもRPGからアクションへ様変わりし、
ゲームキャラとしてもナムコの顔の一つとして認知されるようになった。

ただ一つ小骨が引っかかるような思い出が残る以外は。

あの時「なぜクリアーできなかったのか」
それ が引っかかっていた。
例えば「格闘ゲームで腕が弱くてクリアーできない」 事があったとしよう。
それはまあ仕方がない事と納得できる。
敵ボスが強すぎる事だってあるだろうし、
何よりも「理由」が存在している。

ただRPGの場合、はっきり手順があり、目的があり、
クリアーできる事を行えばクリアーできるのだ。
ゲームである以上、そういう手順は存在する。

例えばそれが「竜王を倒す事」だったり、「クリスタルを集める事」だったりと様々だ。
この場合「時の鍵」というアイテムを鍵穴で使えばクリアーできる事になっていた。
当時の攻略本にも書いてあったのに、
なぜクリアーできなかったのか?

RPGは解けない場合、それは費やした時間に応じて解けない鬱憤も溜まってくる。
あの時、俺はなぜクリアーできなかったのか?

第二章
もう一度再チャレンジするに当たり、
「クリアーできるのか?」という疑問より、 「今、売っているのか?」という疑問の方が強かった。
ナムコは「ナムコミュージアム」という形で昔のゲームを「オリジナル&アレンジ」を発売していた。
良いゲームというのは結構ファンもいて、
その時代の現役ユーザーよりもどちらかといえば昔の当時ユーザーを主眼に置いた
復古版と言えるだろう。

この方法は各ゲーム会社が真似・・・というか参考にして、
古いゲームを発売をしている事で知っている方も多いだろう。

ただ問題として「ワルキューレの冒険(RPG)」がそれらに収録されてなく、
「ワルキューレの伝説(アクション)」が先に復活の対象となり、
それから数本復古ゲーム集が幾本発売されるも発売されなかった。

そうなると昔のファミコンカセットとファミコンハードの購入からという話になる。
正直それでもプレイができれば良いと思っていた。
問題は古いゲームだと中古店でさえ在庫がないということだ。
特にハード的にも流通が少なくなってしまったファミコンの場合、
需要的にも扱っている店も少ない。

そういうことも念頭におきつつ、
ワルキューレについて「再版されていないか」とか色々調べてみた。
その中で目にとまったものが一つ。
「ナムコアンソロジー?」


第三章
ナムコのリメイクゲーム集はさらに回数を重ね、
「ワルキューレの冒険」の場合
「ナムコアンソロジー2」という形で、実はもう復活していた。
調べた時点で、もう結構前に発売されていて、
品的にもかなり薄かったが何とか入手した。

それから帰途につき、
うろ覚えのままゲームをスタートさせた。

「・・・」
始めたものの、プレイした記憶はあるが、かなり前の事で進め方自体を忘れていた。
その当時は攻略本を見ながら進めていたのだが、あれから年数を重ねた今、
どう進めるかもおぼえていない。

なんとなくどこかに隠れているアイテムをゲットしたり、
斧を使って森の中に隠れているアイテムをクリアしたりと、
断片的にはおぼえているが、その糸口すらも覚えていない。
新たに始めようとしても、ドラクエのようにどう進めるか
村人に聞き込んだりできるゲームではない為、
改めて始め直す事もできない。
このゲームは攻略本がないとどう進めて良いかも分からないゲームだった。
あれから十数年、今初めてそのゲーム性に気付いた。


第四章

「・・・なんだこりゃ?」
モニターの前に信じられないものを目の当たりにした。

*********************

はっきり解き方を忘れているので、ネットで検索してみた。
攻略本でも発売していればいいのだが、
ゲーム攻略本は発売当初ならいいのだが、旬が過ぎると手に入る可能性が激減する。
まあ後々ででもやる気があるならそのとき買っておけということだ。

しかし元がファミコン時代だったり、ゲーム的に「最新作」ではないため、
攻略本自身も売っていない。

ただ例外もある。
コアなゲームになればなるほど、
コアなユーザーが生半可な攻略など太刀打ちできないほどの
濃密なサイトを立ち上げてくれている場合が多い。
存在していればの話だが。
(当然無い場合もありうる)

「まあ簡単なチャートだけでも分かればいいんだけど・・・」
楽観・諦め的に見ていた私に現実は平気でそれを覆した。

「なんだこれは?」

 「ワルキューレ1時間クリア」
 「最強パスワード出力プログラム」

画面付きの攻略チャートなんて、てんで目じゃないの濃密な攻略結果まで発見した。
いつもネットは予想を覆すほどの事を目の当たりにしてくれる。

まあ最強パスを使うことは気が向かなかった。
最強装備で始めれば楽は楽なのだが、
あくまで自分の力でクリアできなかった事に対する思いの払拭が目的であって、
一から十まで楽をしたいという考えはあまり湧かなかった。
もっとも第一目的が「クリアーができれば良い」ので、経験値をある程度貯めれたら、
途中で装備変更ぐらいはとは考えたが。


第五章
「ワルキューレはレベル8、1時間でクリアーできる」
そういう現実もあると知ったが、
あくまで淡々と経験地を貯めていった。
あくまで当時と同じように、クリアー手順を進めるように。

ガイド通りとはいえ、アイテムを取るごとに記憶の奥底に沈殿していた
当時の記憶が思い出しつつあった。
「そういえばこういうふうにクリアしていったなぁ・・・」

途中で経験値稼ぎをせねばならず、
幾度も死ぬことがあったが(※)それにめげずに淡々と続けていった。

※このゲームは敵を倒す事で経験値やお金を稼ぎ、
宿屋(セーブポイント)に泊まることで経験値に応じてレベルアップできた。
経験値を稼いでも、その前に死ぬことがあればゲームオーバーになり、
前セーブ以前に稼いだ経験値は無駄になる。



それでも最終エリア・ダンジョンは難しかった。
攻撃が雨あられで避ける場所も無く経験を稼いで戻る前に死ぬこともしばしばあった。
あと残るは最強の武器のみ。
そこで最強の武器はキーワード操作で入手した。
一応改めてそこからも始めれるよう改ざん前のパスも保存して。
ある程度当時を踏襲できたからいいかと割り切り。

それから最終ボスの所に行って見た。
十数年前のあの時と同じように操作してみる。
やはりクリアできない。

それから改めてネットで調べてみた。
正解を知るために。

終章

「・・・くそッ、そうだったのか」(※)
クリア方法の真実を知って、
悶絶というか地団駄を踏むというか、
いろんなものが腹の奥底から沸いてきた。

「こんなことどうやって気付けばいいんだ!!? ヒントも何もないのに(※)」

という感情も込めながら。
それのやり方も知り、十分にクリアー操作を行う為の経験値もあげて、
チャレンジした。

行った結果、すぐエンディングの画面がでてきた。
それはなんのひねりも無いあっけない幕の様だった。

CG全盛のエンディングムービーを目にする現在からすると、
シンプルすぎるもの以外何物でもないが、
それが返って当時のイメージを思い起こさせた。

私は今15年以上にわたる辛酸を、15年以上前の雪辱を晴らす事ができたのだ。 (大げさ?)

ゲーム的にヒントも無く進めなければならない不親切なシステムで、
クリアできないのがまあ普通だろというようなものであろうが、
やはりくやしいものはくやしいのだ。
当時少年だった私の、どこにも向けようが無いくやしさが今やっと昇華されたような気がした。
「(このゲームはゲーム的にクリアできなくても)仕方なかったんだよ」
と問い掛けるように思い返す。

今初めてノドに引っかかっていた小骨が取れたような爽快感を味わっている。

※1
クリアには時の鍵が必要なのだが、その他に「サンドラの像」というものが必要。
使用するわけでもないが、所持していなくてはならない。
当時の私は使わないから必要ないと思って捨てていた。

※2
このゲームにはヒントが無い。
ドラクエのように村人に聞き歩き解答を見つけるということができない。
ある意味攻略本を買っていないと進める事すら難解。

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