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茄子[黒田硫黄]('03.5.14)
知らねえか?こおやって食うのさ

ナスにかかわるいろんな人々の風景を描いた作品。
と言いつつもショートストーリー集というかオムニバス物と言ったらいいのか
一応ナスを根幹としてのつながりはありますが、
一編一編につながりはあまりありません。

一応「センセ」と呼ばれるおっさんがメインキャラクタとして出てますが、
貧乏な女子高生がでてきたり、外国の自転車レースが描かれたり、
時代劇だったり、クマが家に入ってきたりと、内容が盛りだくさんです。

人物はおっさんはおっさんで、ヒゲ面はヒゲ面で無理に小奇麗に変えず、
女性はすました感じもなく、ありありとあるまま、
描かれる所がいきいきしてて魅力的に感じます。
この人が書くそっけない女の子がすごくかわいく感じます。

毎日の生活なんてそう冒険なんてほとんどないじゃないですか。
朝起きてご飯食べて毎日の生活を淡々と暮らしている。
自分からしたら面白みもない。
そんな生活でも他の人の風景は結構しみじみしてじわっと来る事があると思います。
老若男女の様々な人生が直接は繋がっていなくても、
間接的に繋がっているとか考えるとなかなか深いですね。
ちょっと無理矢理ですか。

まあ作品自体短編小説集と考えた方がいいのかもしれません。
ただ書き綴った作品群よりも、ナスというものでまとまりを持たせたほうが、
「ここにもでてるわ(少々)」と思いながら読んでいくのも結構楽しいです。

その中の一編の「アンダルシアの夏」が2003年夏に劇場アニメーションとして公開されるそうです。
喜ばしいと思うのですが、「茄子」という作品全体の魅力が描かれないのかと思うと、ちょっと残念です。

■蛇足
これ以前の作品の「大日本天狗党絵詞」を探しているんですが見つかりません。
ネットで購入した方が確実なのかなと思う今日この頃。
個人的には書店で見つけて、探して、手にとって買う方が「見つけた喜び」とかあって好きなんですよ。
「この漫画かこんなのも描いてたのか」と言う感じで。

アフタヌーン連載が終わって1〜2巻がなかなか見当たらなかったのですが、
デパートの書店スペースで全3巻見つけたので一気に買ってしまいました。
(これだからデパートは侮れない、穴場と言う事で)
特に古い作品ものだと、単行本の場合入れ替えも激しいので、
全館そろっていないものもありますし、打ち切り系とか短編系は即無くなってしまいがちで、
さらに知らない雑誌社の作品の場合書店から売り出された事さえ気付かない事だって物によってあります。
大きめな漫画専門店でもあればいいのですが、なかなか在庫を抱えたままでいる書店も多くないですしね。
(と言うかいくつもある漫画雑誌揃えている所なんてスペースいくら合ったって足りません)
そういう事を踏まえて古くて手に入らない漫画本やそういうものを置いてある書店を見つけると、
それはもう「見つけた喜び」ではなく「発掘した喜び」(金鉱を掘り当てたぞーと言う感じの)に近いです。



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